英語を浴びるだけ日記

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Glaswegianはアイドルズの夢を見るか

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Idlesの知名度が日本でどの位なのかよく分からない。確か一度来日していたはず。自分はイギリスに旅行する直前で行けなかったのだ。でもイギリスの主要フェスにはガンガン出てるし、今もワールドツアー中だし、中止になってしまった2021年のGlastonburyではヘッドライナーの予定だったので、勢いのあるバンドのひとつであることは間違いない。

Idlesの音楽も好きだが、フロントマンであるJoe Talbotのインタビューを聴くのはもっと好きである。この人は語彙が難しすぎるので何を言ってるのかは半分ぐらいしか分からない。話し声が低くて適度にハスキー。数ある中で飛びぬけて好きなのがこのインタビュー。

グラスゴーで2020年の5月に行われた有料のQ&Aセッション。クリエーションレコーズ創設者のアラン・マッギーがナビゲーターとして登場している。

母子家庭でお母さんが難病になり10代からヤングケアラーだった事。アルコールとドラッグの依存症になり、ガールフレンドに暴力をふるっていた事*1。お母さんの死、死産だった娘の事。中流階級、大卒の白人男性である自分の社会的優位性。

「見た目怖いけど実はいい人」ではなく、この人は多分見た目も中身も怖い人である。Idlesが発しているメッセージは非常に強いものだけど、この人自身は常にもろさをはらんでいて、いつ崩壊してもおかしくないように感じる。そのリアリティがとても良い*2

このインタビューが良いのは、Joeの話だけではない。Joeに質問を投げかけるオーディエンスのアクセントがみんなすごくチャーミングなのだ。このQ&Aが開催されたグラスゴーの人が多いのだとは思うけど、多分スコットランドの他エリアやアイリッシュの人も居るのかな?何言ってるのかさっぱり分からない人もいる。Joe本人の発音もエスチュアリーイングリッシュだし、アラン・マッギーもアクセント強い。とにかく色んな発音が飛び交ってて、それがとても魅力的で楽しい。

色んな意味で難易度が高いけど、イギリス英語を学ぶ上でこんなに素晴らしい教材はなかなかないと思う。多分20回位聞いてて、未だに何言ってるのか分からないところが沢山あって飽きない。いつかこれが全部分かるようになる日がくるんだろうか。

 

www.talkhouse.com

*1:Joeは現在は酒もドラッグも止めて治療やカウンセリングを受けており「周りの人が俺を理解し、助けて許してくれなければ、今俺はここにいない」と言っている。

*2:そうか、自分はそういうのが好きなんだな、と書きながら気づいてしまった、今。