
このブログもまたしばらく放置してしまいました。仕事の忙しさにかまけてブログの更新やオンライン英会話も途切れがちですが、会社の横暴やネットの誘惑に負けずに折々継続していきたいと思います。
まずは最近とても印象深かったオンライン英会話の話を、忘備録もかねて。
セルビア
私が使っているオンライン英会話プラットフォームには多くのセルビア人講師がいます。3年以上同じ時間帯に英会話を続けていると、馴染みの先生も少しずつ増えてきて、その中には何人かのセルビア人の先生もいらっしゃいます。
これはセルビア人に限りませんが、レッスンを5回、10回と重ねていくと先生たちはかなりプライベートな話もしてくれるし、普通はタブーとされている政治や宗教についても率直*1な話をしてくださってとても興味深い。
セルビアの先生は1999年にNATOに空爆された記憶を鮮烈に持っている方が多く、当然の事ながらNATOとアメリカの民主党が嫌いで、ほんのりロシアに親和的です。40代以降だとチトー政権時代を懐かしんでいる方もいます。確かに彼は独裁者だったかもしれないけど経済は安定していたし芸術も花咲いた時代だった、あの頃は良かった!と。
そしてどうやらプーチン大統領を極端な悪人だとは思っていない人が多い印象です。政治家なんて多かれ少なかれみんな悪い事してるでしょう、の延長線ぐらいに思っている。ウクライナもロシアもどっちもどっちだよね、と。あくまでも私が会話した範囲に限りますが。
NATOによるセルビア空爆
私は今年の春(2026年春)にまたイギリス旅に出かけていて、帰ってきてから馴染みの30代後半男性セルビア人講師とのレッスンを行いました。その時の会話は私にとってとても印象深いものでした。
またイギリスに行ってきたよ、という私の話から、イギリスはまたEUへの加盟を目指し始めたよね、そもそもEUを抜けたのは馬鹿な判断だったよ、再加盟はちょっと遅いけどやらないよりはずっとマシだろう、セルビアもEU加盟を目指すべき、と彼は言います。
私「でもあなたたちはNATOが好きじゃないでしょう?」
先生「EUとNATOはイコールじゃないよ。セルビアの経済の為には加盟した方がいいと思う。」
私「そうだよね、今の世界の状況だと、今まで以上に世界中の国が団結する必要はあると思う。でもEUのリーダーは事実上ドイツだし、NATOのヨーロッパ側のリーダーもドイツじゃない?セルビアがEUに加盟するのは複雑な気持ちもあるんじゃない?」
先生「まぁね。セルビアがNATOに空爆された時、僕と妹はまだ子供だった。何が起きているのかは理解していなかったけど、両親が...母だけではなく、あの父までもが恐怖で泣いていたのを覚えている。
でもNATOの空爆に反対して、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、世界中の人々がデモをしてくれたのも知っている。戦争を始めるのは、いつも政治家とかほんの一部の人たち。多くの一般の人々は戦争なんてしたくないよね。戦争になって被害を受けるのはいつも普通の人だ。セルビアはかつて、世界大戦の引き金を引いてしまったことがある。でもセルビア人みんながそうしたくてそうなったわけじゃない。いつもごくごくわずかの少数の人が戦争を始めるんだ。」
NATO空爆に反対するデモを、他ならぬセルビアの人々も見ていたのは考えてみれば当たり前のことですが、今まで想像していなかった視点だったので、とても印象的でした。世界中の多くの人が空爆と、それに反対してデモをする人々を見ていました。
「世界中の人がセルビア空爆に反対デモをしてくれた」という事実が、子供だったセルビア人の先生の心の中に根付き、後年「セルビアもEUに加盟するべきだ」という考えを芽吹かせたという事になります。
同じ経験をした人全員が同じ考えになる訳ではありませんし、すべてのデモに賛成するわけではありませんが、それでもいつか芽吹く事を願いながら種を世界に届ける方が遥かに良い。刈り取るばかりのごくごく少人数の為政者に負けて、沈黙してはならないのだと教えてもらった気がします。
オンライン英会話には私には英語以外の学びがとても多いのです。
2026.4.25追記
オードリー・タンさんはやっぱりすごいな。
市民は発見したんです。そもそもデモとは、圧力や破壊行為ではなく、たくさんの人にさまざまな意見があることを示す行為だということを。政治は国民が参加するからこそ、前に進める。
https://news.yahoo.co.jp/feature/1517/
2026.4.28追記
タイムリーにもThe Rest Is Politics Leadingでセルビアのヴチッチ大統領のインタビューが出ました。イギリスのメディア、しかもホストはセルビア空爆当時にイギリス側のど真ん中にいて敵そのものだった2人。このような私的な対話にセルビアの大統領が応じたのは珍しい事ではないでしょうか。
この大統領はロシアの傀儡といわれ、中国からの巨額の賄賂も疑われており、セルビア国民はずっとこの政権に対する反政府運動を頑張っているところです。それでもこのインタビューで示されたNATOや西側諸国に対する怒りや不信感は、多分セルビア人のみんなが多かれ少なかれ共有している感覚だと思います。
それにしてもこの大統領、見た目に反して声が良いのに少し驚いた。
https://youtu.be/NUHJb96m5ec?si=BwP_RH6OKRg2RQwW
*1:これは多分私の側の英語の拙さのせいで、細かいニュアンス抜きのシンプルな表現を「あえて」してくれている面もあると思っています。





