英語を浴びるだけ日記

英語で見たり聞いたりしたもの日記

「英語が出来る」ってどういう事?

最近Elsa Speak*1に課金して英語の発音練習を始めました。AIが発音を分析して発音記号に沿った音が出せているかどうかを判定してくれる矯正アプリです。単語あり、短文あり、会話形式の長文ありで、苦手な音を見極めて苦手な点を中心に自動でトレーニングメニューを作成してくれます。無料で使って良さそうだなと思っていたし、今年は自分の中ではスピーキング強化年なので発音も頑張ろうかなと。発音はさておき、強制的に発声させられる事になるので、漫然と音読するよりいいかなーと。

しかしそんないい内容なのに何故私が今まで課金をためらっていたかというと、Elsa Speakがアメリカ英語のアプリだからです。

イギリス英語か?アメリカ英語か?

私が英語を何とかしたいと考えているのは、自分が好きな有名人がイギリス人で、イギリス人とコミュニケーションするためです。Elsa Speakがイギリス英語に対応してくれればいいのになー、と長年課金をためらっていました。

私がそんな考えを改めるきっかけとなったのは、このLuke's English Podcastのエピソード。世界一の大学出版社として知られるOxford University Pressの英語教育部門のトップ、Santiagoさんへのインタビューです。

 

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この方はスペイン人です。イギリスの大学の出版社で英語教育の専門書を出す部門のトップに外国人がいるのは意外。しかもSantiagoさんは「大学で英語を専攻していたのに、卒業後イギリスに行ったら全然通用しなかった」というエピソードを持つ、一般的なAdult Learnerです。

このインタビューでは、英語教育出版の話ではなく、いかにしてSantiagoさんが英語を使いこなせるようになったかという部分にスポットを当てています。最初はレストランで接客バイトしてて「コークください」と言われたのにコートを持っていってしまうレベルだった、とか。気さくでフレンドリーで面白い方です。英語学習についてはとにかく継続する事、失敗にへこたれず、諦めない事が大切だと話しています。

下手な英語、上手い英語

ところがこのYouTube動画についたコメントの中に、Luke先生としては幾つか気になる内容があったようです。

スペイン語アクセント強すぎ。

・もっとRPアクセントぽい人が出てくるかと思ってた。

・時々文法間違ってるよね。

・You knowって言い過ぎ。

こういうのを拾って、次のエピソードに広げられるのがLuke先生のスゴイところだなと感心するのです。コンテンツ力が強い。Luke先生のリアクションはざっくり下記のようなものでした。それが次のエピソード。

youtu.be

「ノンネイティブにも関わらず、業界有数のトップ企業でシニアマネージャー職まで上り詰めたSantiagoさんの英語力にツッコミを入れるとは、君たちいい根性だな!そしてその考え方、実は自分の首絞めてるよ?(意訳)」

 

そこから話は英語教育者として、どのように学習者たちの英語力を判断しているか、そしてIELTSではどのように4技能の能力が採点されているのか、その考え方とポイントについて解説が始まります。煎じ詰めると求められているのは4技能のバランスの取れた「コミュニケーション力」なんだそうで。

Luke先生は繰り返し「僕はSantiagoさんとの会話の最中、自分の話が通じてるかなとか、この英語のレベルだとこの単語は分かるかなとか、会話が続かなくなって次に何を話そうかなとか、気遣う必要がなかった。英語が出来るっていうのはそういう事なんだよ」と言っています。

英語学習者が陥りがちな「誤った英語上級者像」として「難しい単語やレアな句動詞を駆使」「発音記号に沿った完璧な発音」「文法の間違いは一切ない」等を上げています。

英語でのプレゼンが得意で難しい単語や表現を使って一方的にペラペラ話すけど、リスニングは不得意で、相手に何か質問されたりすると何を聞かれているのかもわからず、コミュニケーションが取れない人が世の中にはゴロゴロいると*2。それは「英語が出来る」とは言わないよね、と。

正しさにこだわるあまり英語を話すハードルを上げてしまい、結果として英語でコミュニケーションする事に対するメンタル・ブロックを自分で作り出し、英語学習に失敗してしまうのだ、という話もしています。これは日本人として非常に耳が痛い...。

オンライン英会話

このエピソードを見た後に、オンライン英会話でテキストの中に「Schedule」という単語が出て来たので、フィリピン人の先生に発音について質問してみたのです。イギリス英語では/ˈʃedʒ.uːl/(シェジュール)、アメリカ英語では/ˈskedʒ.uːl/(スケジュール)*3。先生は「イギリス発音の方は聞いたことがない」と。うーんやっぱりそうかー。ですよねー。

目指すはインターナショナルな英語

英語には「標準語」というのは存在しません。加えて大人になってから英語を勉強する日本人が、ネイティブと同じ発音を身に着けるのはほぼ不可能だと言われています。

でも、初学者でも理解しやすい英語っていうのはある。すごーくある。多分ノンネイティブとして自分が目指すべきはそっちなんじゃないかと。Luke先生の友達のイギリス人コメディアン、Paul Taylorさんはまさにその一人。すごく早口なのに理解しやすい。私がリスニングを始めたかなり初期の段階から内容が高解像度で理解出来た数少ない英語話者です。

この方は英語教師ではないんですが、子供時代ヨーロッパを転々としていたトリリンガル*4で、元々はアップルでインストラクターをしていた関係で世界中を飛び回っていた人です。私は学者になるわけじゃないし、仕事で英語を使う訳でもないので、であれば目指すべきはこういう人だな、という決心がやっと最近つきました*5

これからはイギリス人に限りなく近づこうとするのではなく*6、世界中誰とでも交流が楽しめる英語を目指したいと思います*7

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*1:検索すると例えば生涯会員が80%-85%オフのクーポンがゴロゴロしているので、課金する前に検索する事をお勧めします。

*2:Luke先生はリスニングの練習が不足している人が多過ぎるからこのポッドキャストを始めたといつも話しているので、それとも一致しますね。

*3:この単語についてはイギリスでも若い人はアメリカ発音してるらしいし、アメリカ発音に変えてる人も多くなってきてるらしい

*4:英語はもちろんネイティブですが、フランス語もスペイン語もネイティブの人々にネイティブだと信じられているレベルだそうです

*5:でもイギリス人って仲良くなるとアメリカ風の英語にブツブツ言うんですよね。そこは「うるさい私は外国人だ!」とはねのけていきたい。

*6:実際無理だし

*7:方向性は固まったけど道のりは果てしなく長い