英語を浴びるだけ日記

英語で見たり聞いたりしたもの日記

オンライン英会話その後


オンライン英会話には2月に入会したのですが、知らない人と話したくないとか、英語恥ずかしいとか、面倒くさいとか、平日夜に時間を作るのが大変とか*1、とにかく色んなバリアがあります。

planariastraw.hatenablog.com

 

そんなわけで1日1回25分のレッスンが受けられるプランにも関わらず、2月は6回、3月6回、4月5回、5月8回という実績。辛いんですよ、家帰って風呂入ってご飯食べてそこから30分位予習して25分英会話するの。英会話終わった後、すぐ寝る気になれなくて睡眠も削られるし。

これはもしかして月に8回プランにした方が幸せになれるのでは?というリアリストな悪魔のささやきがあったものの、本当に永遠に英語が話せないままでいいのか自分?と一念発起。6月は頑張って20回のレッスンをこなしました。25分の20回でわずか8.3時間ですけど、多分人生で一番英語沢山話してる。

とにかく割り切りました。当面は出川英語でいいんだと。

正しく上手く話そうなどという高尚な目標や見栄は一旦捨て、酒飲んでもいいから毎晩25分世界中の女子と女子会をしようと。目標は一回のレッスンで講師を最低一回は笑わせる事*2。話が通じてればこまけー事は気にしない!

レッスン冒頭の自己紹介も、教材のエクササイズに出てくるボキャブラリーの確認も本文読んで発音チェックして貰うのも全部飛ばして*3、授業中はディスカッションだけにしてもらっております。そしてディスカッションも出来るだけひとつひとつの問いを深掘りするように。時間が足りなくなって教材の最後まで行かないのが理想的です。

おかげで体感で70%ぐらいの講師に「自分の考えを明確に自信をもって話してるのはいい事だけど、少しは英語で本を読んだら/字幕抜きで映画を見たら/文法の勉強をしたらいいと思う」とコメントを書かれる始末です。文法ぐっちゃぐちゃだし中学生レベルのボキャブラリーしか使えてませんからね。アクティブボキャブラリー少なすぎる。痛い人になっているのは分かってます自分でも。

しかし一番お気に入りの講師先生*4に、とにかく英会話の回数をこなせ、基礎はあるんだから他の勉強はもうやらなくていいよ、と言われている事もあり、とりあえずあと2か月ぐらいはこのままで、とにかく回数をこなそうと思います。英会話の練習の効果を感じられるのは100時間位からだという話もあるので、つまり100時間=6,000分=25分の英会話が240回分...。

2014年で少し古いですけど、オンライン英会話が1年続く人は6%しかいないっていう調査結果もあるらしく。いや、分かりますよ。毎日25分+予習復習時間取るの大変だし、恥ずかしいし言葉出てこないし、冷や汗はかくし、辛い。でも自分としては結局、対人で英語を話す練習を避けているからいつまでも英語話せないんだろうと思うのです。AIの英会話アプリとか、その他の英語アプリも色々ありますけど、結局自分にとっては実際に人間相手に英語を話す苦痛からの逃げだなーと。

色んな専門家が言っている通り、これは筋トレのようなものなので、毎日ちょっとでも動かしていくしかないのですよね。とにかく継続することだけを目標に頑張っていきたいと思います。

ほんの少しづつですが、真夜中に、名前も聞いたことがないようなアフリカの国の女子と「こっちは冬でヒーターつけてるんですよ」「えーこっちは夏で窓開けて寝てますよ!」とか、アジアの女子と甘いものやめらんなくてやばいよねーみたいな女子会っぽい世間話するのも不思議に悪くないな、と思い始めてます。

*1:達人は早起きして朝やるらしいですが、絶対無理だ

*2:男性はノリに波があるので笑わせる難易度高め

*3:最初先生に聞いてもらっていましたが、指摘を受けるわけでもなく、さほど難しい内容でもないのでオンライン授業前に自分で何度か音読して終わらせることにしました。気になるところはスマホに話しかけてちゃんと聞き取って貰えるかチェックする。

*4:なんと生徒からの評価点が満点という化け物。何かおかしいのでは?

「英語が出来る」ってどういう事?

最近Elsa Speak*1に課金して英語の発音練習を始めました。AIが発音を分析して発音記号に沿った音が出せているかどうかを判定してくれる矯正アプリです。単語あり、短文あり、会話形式の長文ありで、苦手な音を見極めて苦手な点を中心に自動でトレーニングメニューを作成してくれます。無料で使って良さそうだなと思っていたし、今年は自分の中ではスピーキング強化年なので発音も頑張ろうかなと。発音はさておき、強制的に発声させられる事になるので、漫然と音読するよりいいかなーと。

しかしそんないい内容なのに何故私が今まで課金をためらっていたかというと、Elsa Speakがアメリカ英語のアプリだからです。

イギリス英語か?アメリカ英語か?

私が英語を何とかしたいと考えているのは、自分が好きな有名人がイギリス人で、イギリス人とコミュニケーションするためです。Elsa Speakがイギリス英語に対応してくれればいいのになー、と長年課金をためらっていました。

私がそんな考えを改めるきっかけとなったのは、このLuke's English Podcastのエピソード。世界一の大学出版社として知られるOxford University Pressの英語教育部門のトップ、Santiagoさんへのインタビューです。

 

youtu.be

この方はスペイン人です。イギリスの大学の出版社で英語教育の専門書を出す部門のトップに外国人がいるのは意外。しかもSantiagoさんは「大学で英語を専攻していたのに、卒業後イギリスに行ったら全然通用しなかった」というエピソードを持つ、一般的なAdult Learnerです。

このインタビューでは、英語教育出版の話ではなく、いかにしてSantiagoさんが英語を使いこなせるようになったかという部分にスポットを当てています。最初はレストランで接客バイトしてて「コークください」と言われたのにコートを持っていってしまうレベルだった、とか。気さくでフレンドリーで面白い方です。英語学習についてはとにかく継続する事、失敗にへこたれず、諦めない事が大切だと話しています。

下手な英語、上手い英語

ところがこのYouTube動画についたコメントの中に、Luke先生としては幾つか気になる内容があったようです。

スペイン語アクセント強すぎ。

・もっとRPアクセントぽい人が出てくるかと思ってた。

・時々文法間違ってるよね。

・You knowって言い過ぎ。

こういうのを拾って、次のエピソードに広げられるのがLuke先生のスゴイところだなと感心するのです。コンテンツ力が強い。Luke先生のリアクションはざっくり下記のようなものでした。それが次のエピソード。

youtu.be

「ノンネイティブにも関わらず、業界有数のトップ企業でシニアマネージャー職まで上り詰めたSantiagoさんの英語力にツッコミを入れるとは、君たちいい根性だな!そしてその考え方、実は自分の首絞めてるよ?(意訳)」

 

そこから話は英語教育者として、どのように学習者たちの英語力を判断しているか、そしてIELTSではどのように4技能の能力が採点されているのか、その考え方とポイントについて解説が始まります。煎じ詰めると求められているのは4技能のバランスの取れた「コミュニケーション力」なんだそうで。

Luke先生は繰り返し「僕はSantiagoさんとの会話の最中、自分の話が通じてるかなとか、この英語のレベルだとこの単語は分かるかなとか、会話が続かなくなって次に何を話そうかなとか、気遣う必要がなかった。英語が出来るっていうのはそういう事なんだよ」と言っています。

英語学習者が陥りがちな「誤った英語上級者像」として「難しい単語やレアな句動詞を駆使」「発音記号に沿った完璧な発音」「文法の間違いは一切ない」等を上げています。

英語でのプレゼンが得意で難しい単語や表現を使って一方的にペラペラ話すけど、リスニングは不得意で、相手に何か質問されたりすると何を聞かれているのかもわからず、コミュニケーションが取れない人が世の中にはゴロゴロいると*2。それは「英語が出来る」とは言わないよね、と。

正しさにこだわるあまり英語を話すハードルを上げてしまい、結果として英語でコミュニケーションする事に対するメンタル・ブロックを自分で作り出し、英語学習に失敗してしまうのだ、という話もしています。これは日本人として非常に耳が痛い...。

オンライン英会話

このエピソードを見た後に、オンライン英会話でテキストの中に「Schedule」という単語が出て来たので、フィリピン人の先生に発音について質問してみたのです。イギリス英語では/ˈʃedʒ.uːl/(シェジュール)、アメリカ英語では/ˈskedʒ.uːl/(スケジュール)*3。先生は「イギリス発音の方は聞いたことがない」と。うーんやっぱりそうかー。ですよねー。

目指すはインターナショナルな英語

英語には「標準語」というのは存在しません。加えて大人になってから英語を勉強する日本人が、ネイティブと同じ発音を身に着けるのはほぼ不可能だと言われています。

でも、初学者でも理解しやすい英語っていうのはある。すごーくある。多分ノンネイティブとして自分が目指すべきはそっちなんじゃないかと。Luke先生の友達のイギリス人コメディアン、Paul Taylorさんはまさにその一人。すごく早口なのに理解しやすい。私がリスニングを始めたかなり初期の段階から内容が高解像度で理解出来た数少ない英語話者です。

この方は英語教師ではないんですが、子供時代ヨーロッパを転々としていたトリリンガル*4で、元々はアップルでインストラクターをしていた関係で世界中を飛び回っていた人です。私は学者になるわけじゃないし、仕事で英語を使う訳でもないので、であれば目指すべきはこういう人だな、という決心がやっと最近つきました*5

これからはイギリス人に限りなく近づこうとするのではなく*6、世界中誰とでも交流が楽しめる英語を目指したいと思います*7

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*1:検索すると例えば生涯会員が80%-85%オフのクーポンがゴロゴロしているので、課金する前に検索する事をお勧めします。

*2:Luke先生はリスニングの練習が不足している人が多過ぎるからこのポッドキャストを始めたといつも話しているので、それとも一致しますね。

*3:この単語についてはイギリスでも若い人はアメリカ発音してるらしいし、アメリカ発音に変えてる人も多くなってきてるらしい

*4:英語はもちろんネイティブですが、フランス語もスペイン語もネイティブの人々にネイティブだと信じられているレベルだそうです

*5:でもイギリス人って仲良くなるとアメリカ風の英語にブツブツ言うんですよね。そこは「うるさい私は外国人だ!」とはねのけていきたい。

*6:実際無理だし

*7:方向性は固まったけど道のりは果てしなく長い

未解決事件のドキュメンタリー - BBCのPodcast 'Vishal' -


BBCのドキュメンタリーPodcast ’Vishal’ を聞いています。内容はいわゆる True Crime もので、中身があまりにも陰惨で重いテーマなので楽しんでいるというのも違うし、夢中というのにも気が引けますが、ここのところ何度も繰り返し聞いているPodcastです*1。非常によく練られた、上質な番組だと思います。

 

www.bbc.co.uk

事件発生

1981年、チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚に沸くロンドン。家族と一緒に結婚パレードを見に行った8歳のインド人少年 'Vishal' は、帰宅途中に姿を消し、約7か月後に変わり果てた姿で発見されたー。

40年以上前の未解決事件です*2。犯人は捕まっていません。

(以下ネタバレも含むのでこれから聞く方は要注意)

内部告発とジャーナリズム

2020年、BBCのジャーナリストに元刑事がコンタクトして来た事からこの物語が始まります。古い未解決事件について新たな証拠がある、取材をして欲しい、と。

現役時代、腕利きだった元刑事はある「押収物」の存在に気が付き、Vishal事件の再捜査をするよう警察内で働きかけをしていましたが、それが叶う前に引退を迎えていました。その後も気になって現役の同僚に問い合わせると、再捜査の上申が却下されたとの事。こんな事があってはならないと、引退後にジャーナリストに取材を依頼したのです。

「警察は一般によく働くが、時に間違いを犯す。時間の問題ではない、これは信義の問題だ。我々にはVishal事件の真実を明らかにする責任がある。」と語る元刑事の言葉がドラマみたいにカッコいい*3

取材

番組をナビゲートするのはVishalの異母弟。一度も会ったことがない兄の事件をリスナーと共に追っていくことになります。前半のエピソードは少年が姿を消した経緯や家族の証言、当時の大規模な捜索の状況、Vishalが姿を消した時期にロンドンを中心に活動していた小児性愛者グループの事件*4、そしてその被害者達の証言が中心です。

多数の児童虐待によりこの犯罪グループのメンバーは実刑となり、既に刑期を終えていました。そしてこの事件の捜査中に押収されたファイルにつけられていたタイトルが「Vishal*5」だったのです。

同時期に近いエリアで起こった児童に対する犯罪にも関わらず、捜査チームはVishalファイルを作成した加害者とVishal事件を結びつけませんでした。このPodcastの中でジャーナリストは加害者本人にもインタビューをしています*6。他にもいくつかの事実や状況証拠があり、どうやらこのグループがVishal事件にも関わっていた可能性が高そうである事が示唆されます。ジャーナリストは取材を進めながら調査報道を続けました。

再捜査

そして取材開始から1年半後、ついにサセックス警察はVishalファイルの存在を認め、捜査に不備があった事を謝罪の上、再捜査を約束、そしてその結果を報告したいと言って、Vishalの家族を訪問します。その場にはジャーナリストも同席しており、実際の会合の音声がPodcast中で流れます。

ここも印象的なシーンでした。本当に、本当に、警察の対応が酷い*7。他人の私が涙目になるぐらい、酷い。

事件の背景

ここからPodcastの内容は違う視点に切り替わります。なぜ警察は再捜査をしたがらないのか?

2年に一度、全ての未解決事件をレビューするという規定をサセックス警察は守らず、Vishal事件の見直しを事実上していませんでした。そしてそれは、多分、Vishalが白人ではなかったから。

戦後、人手不足から大量に移民を受け入れたイギリス社会で、白人とは別のコミュニティで暮らすことを余儀なくされてきた移民第一世代のVishalの父親*8の経験が明らかにされます*9。事件発生当時もまず父親が警察から疑われ、周りからもかなりひどい事を言われていたようです*10。また、この犯罪グループから被害を受けていて生き延びた別のインド人被害者は、警察に駆け込んで自分の虐待の状況を訴えても全く相手にされなかったと証言しています。

なお、今回関わりが疑われている小児性愛者グループは特に南アジアの少年を好んでいたとの事*11。その嗜好自体が、人種差別と関係があったかもしれない事が番組内でほのめかされています。

人種を超えて

全く暗い気持ちになる話です。しかし一方で、事件発生当時、家族に寄り添い励まし続けた心ある警官もいて、内部告発のような形でVishalの取材を依頼した元警官も、事件を2020年から追い続けているジャーナリストも白人、そしてこのPodcastを聞いて憤り、SNSなどでサセックス警察を非難しているのも多数のごく普通のイギリスの人々です。実際、Vishalの異母弟である30代のナビゲーターは、父親が移民として経験して来た人種にまつわる話を初めて聞いて、ショックを受けているようです。イギリスの社会も変わって来ているのだと思える点もあり、そこには希望を感じます。

Podcastは本国イギリスでは現在Ep.9までリリースされて一旦終了しているようです。BBCは各エピソードの最後に、その時点での警察のVishal事件に対するステートメントを放送し、Vishal事件に関する情報提供を視聴者に呼び掛けています。

そしてこのPodcastによって世論が高まり、5月中旬、ついにサセックス警察が再々捜査を行うと発表したようです。今度こそまともな対応がなされることを願わずにいられません。

好むと好まざるとにかかわらず、日本でも今後外国人が増え、一緒に暮らしていく事になると思います。入管では既に幾つもの事件が発生しており、長らく問題点が指摘されてきた技能労働者についても、長い時間を経て、やっと事実上の移民労働者と認め、状況を改善しようとする兆しが見えて来たところのように感じます。

8歳の子どもが殺されたのに犯人が野放しにされていたり、病気の女性が放置されて亡くなることで、得をする人は誰もいません。この混沌に向き合い、フェアな世の中にするために声を上げる人々を尊敬します。

 

でも個人的には、正直、きつ過ぎてもう嫌だこの世界...とも思ってしまう。やりきれない...。

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*1:様々な登場人物が様々なアクセントで話す事もあって、英語の面でもとても興味深い内容です。しかし私には難易度が高く、ネットで関連記事を探したりしながら理解を深めているところです。

*2:チャールズ国王の戴冠にこのドキュメンタリーをぶつけてくるあたり、BBCの本気というか反骨精神のようなものを感じます。

*3:この元刑事が警察になって初めて現場に出た仕事が、チャールズ国王とダイアナ元妃の結婚パレードの警備だったのだそうです。色々出来過ぎ。

*4:恐ろしい事に中心人物のひとりは虐待を受けた児童や、学校になじめない児童のスクールカウンセラーを勤めていたケースワーカーだったそうです。

*5:インドでも珍しい名前だそうです。

*6:実際の音声が流れるのでゾッとします。

*7:酷いんですが、この場にジャーナリストが同席し、この場面の生音声の録音が存在し、それを公にする事が出来る点で、イギリスはすごいなと思いました。日本でこれが出来るかどうか、はなはだ心もとない。

*8:現在70代後半なので、既に引退されているのではないかと思いますが、現役時代は弁護士をされていたそうです

*9:映画「ボヘミアン・ラプソディ」でも60年代、空港で働くフレディ・マーキュリーが「パキ!パキ!」とバカにされるシーンが出てきたと記憶しています。

*10:同種の話は犯罪被害者の家族のエピソードとして見たことがあるので、これについては人種に限らず被害者家族に共通の問題のようにも思われます。

*11:刑期を終えたグループのうちのひとりは行方が分からなくなっており、アジアにいると見られているそうです。

英語とイギリスひとり旅

久しぶりにイギリスに「海外追っかけ」しに行ってきました。今までイギリスには4回行ってて、今回は今までで一番長く滞在したかもしれない。10泊*1。英語という観点から旅を振り返ってみたいと思います。

結論から言うと、よく世間でも言われている通り、自分の英語の最大の敵はメンタルブロックだったのだなと思いました。外国人怖い、英語怖い。通じなくて気まずくなる時間が怖い。今回の旅で少しだけそれが払拭されて、次のステージに進めそうな気がしています。

かれこれ5年ぐらい日本語を聞くのを出来るだけ避けて、可能な限りイギリス英語を聞いています。聞いてるだけ。いわゆる勉強的な事は一切していません。今回イギリスに行く2週間ぐらい前からオンライン英会話を渋々始めましたが、25分×10回ぐらいなので特に大きな影響はなかったと思います。

でも今回の旅は自分なりに少しだけ冒険ができました。多分聞くことに若干自信が出たからだと思います。聞き取れなくても「Sorry?」と言えばみんな言い直してくれるし、イギリス人は冷たそうに見えて案外フレンドリーで愛想がよい。(でも最終的には友達になるの難しそうでもある。)知らない人でも気軽に話しますよね。列に並んでる時とか。移民が多いので片言英語の人にも多分慣れている。

長距離バスの中

初日に空港について、今回はすぐコーチ(長距離バス)で地方都市まで移動したんです*2。約5時間。途中でトイレ休憩があってドライブインみたいなところで停車した時に、隣の女性がポテチ一袋くれて*3。「もしかして日本の方ですか」なんて話しかけられまして。そこから2時間ぐらいずーっとおしゃべりをするはめになりました。ルーマニアからの移民の大学院生30歳。彼女にとっても英語は第二言語なので(とはいえペラペラですが)割とお話がしやすかったんです。ちなみにルーマニア語とイタリア語とドイツ語と英語が話せるそうです。なんてこった。

こちとら彼女より大分歳上ですが、年季の入ったコミュ障なので、向こうが会話をリードしてくれてこちらが何とか片言で答えるみたいなたどたどしい感じでした。しかし多分彼女も暇だったのと、日本語に興味があるみたいで色々日本語の言い回しを聞かれたりしていました*4

タウンガイドによる英語のウォーキングツアー

で、そこでいい気になって、目的地に着いてから勇気を出して2時間半の現地ウォーキングツアーに申し込んだのです。夜に見つけて、オンラインで申し込んで、○時に街の中心部にある○○前に集合してくださいとメールが来て。平日だったので、ガイドさんと2人きりだったら会話が辛いなーと心配だったのですが、行ってみるとガイドさん(イギリス人)の他にアメリカ人のご夫婦とオーストラリア人の大学院生みたいな人が一緒でした。全員ネイティブやん!きっつー。

しかしこれが歴史文化産業アート等々、とても充実した内容でちょっと感動するぐらい素晴らしかった。3千円弱で最終的には3時間。お得過ぎる。理解度は7割~8割位だと思うんですが、ガイドさんは外国人慣れしているせいか、発音がクリアで言葉遣いもかなり分かりやすかったです。

一緒になったアメリカ人ご夫婦*5(奥さんはフレンドリーだけど超早口、旦那さんは海坊主みたいな大男で私の存在は完全無視)とオーストラリア人学生*6(こちらも早口でアクセントが強い!)の容赦ない英語は半分ぐらいしか分からず冷や汗…。しかしガイドさんも含めみんないい人たちで、この英語的な意味でのチャレンジャーかつフレンドリーさに欠けるアジア人(=私)が居心地が悪くならないように気を使っていただき、楽しいツアーになりました。もうこのツアーで街の事はほぼ分かってしまった気持ちになってしまい、これ以上観光する所も特になかったです。曜日的にあちこち休みだったのもありますが。

色々頑張った

その後は、追っかけで移動の連続。今回はイングランド内の移動のみで比較的距離が短くて楽でした。全部で5都市をウロウロ。交通機関は事前に出来るだけおさえておいたし、運よく全て予定通りに動くことが出来ました。

前からメッセージのやり取りをしていた現地ファンに会ったり、ホテルの部屋でブレーカーが飛んでフロントに「電話」する事になったり(英語で電話したのは初めてだったと思う)、帰国当日に暗証番号を入れても部屋の金庫が開かなくなって(多分自分がなんかやらかした)夜中の2時にフロントに行って困っている事を説明したり、色々な事案が発生しつつ、それでも何とかひとりで乗り切ったのでほんとよく頑張った*7

しかし英語はまだまだ

【リスニング】英語でコミュニケーションしなくちゃならないから、というのが理由で何かを諦めることはほとんどなくなった。相手が何言ってるか分かれば大体何とかなるという事を実感できた。しかしネイティブの英語を自信をもって聞くにはまだ場数が足りない。Podcastとかの人たちはハキハキ話すけど、現実はそんな人ばかりではない。

【リスニング】大都市なら出会う人々の概ね半分は移民だし、旅行者も多いせいか、割と英語が分かりやすい。旅してる範囲なら7割ぐらいの人は何言ってるか大体分かる。残り3割の容赦ないネイティブに当たると突然理解度が下がって話題はわかるけど詳細の自信がなくなる*8。しかし何言ってるのか完全に分からなかったのは滞在中1回だけだった。

【スピーキング】こっちが言ってる事はちゃんと通じているし聞き返されたことはほとんどない。発音やイントネーションには多分大きな問題はなさそう。遅いけど。(コテコテ日本語訛りだけど通じてるからいいじゃん。とはいえもっと奇麗に話したい。)特に必要のない日常の雑談が通じると嬉しくてモチベーションあがります。

【スピーキング】分かってたけどスピーキングの練習が足りなさすぎる。っていうか今まで何もやってないですからね。発話が遅い。組み立ても遅い。言いたい事が言えてない。単語もフレーズも文型も何もかも足りない。

【スピーキング】非ネイティブ講師のオンライン英会話は会話の続け方とか発話の練習としては効果的なので続けたい。でも将来的にはそのまま続けても多分現地で完全に通用するようにはならないので、どこかのタイミングでネイティブ講師に切り替えるか、ネイティブ相手の場数というのは別途作る必要がある。自分はそろそろ独学じゃなくて誰か決まった先生に見てもらって、学習プランを立ててもらった方がいいのかもしれない。iTalki辺りで長期に面倒見てくれそうな資格持ちの先生を探そうかなと思っている。

【リーディング】もう今後は読み物も出来るだけ英語にしないとダメだな。

【ライティング】今まで現地人とのやり取りはDeepL翻訳に頼りっきりだったけど、最初から全部頼るのではなく、まずは自分で作文するように頑張ろう。

【モチベーション】4年ぶりに大好きな人々をこの目で見ることが出来て、愛を再確認したのでやる気が爆上がりした。英語もその他の事ももっと頑張ろう。

英語の勉強は一生もの

やしおさんのこの記事が好きでたまに読み返したりしています。

yashio.hatenablog.com

やしおさんと自分を比べるなんておこがましい話ですが、留学とか海外転勤とかよほど切羽詰まった事情がない限り、英語の勉強を続けるのは多分誰にとっても難しい。特に自分は人と比べてもかなりの怠け者で、学生時代にもまともに机に座って勉強した記憶があまりないので、なおさらです。

しかし今回の旅で自分の英語はまだまだだという当たり前の現実に加え、今のやり方だといつまで経ってもこのままだなというのも身に染みました。その一方で最初にイギリスに行った頃*9から比べると進歩したという実感も得られました。

イギリスには年内、もしくは来年早々にまた行くことになりそうなので、それまでにスピーキングの練習を頑張りたいと思います。ファン活動+英語の勉強+海外旅行は一生ものの趣味として悪くないな、と改めて思いました。

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*1:会社は移動も含めて12日間休んで、休日なのに移動中とかずっと仕事してた。事実上上司がいないので無茶苦茶であるが、野放しゆえの長期休暇なので仕方ない。とにかく休みくれるだけであとはもうどうでもいいという感覚。

*2:今は円が弱いので鉄道ばっかり乗ってると破産する

*3:イギリス英語でいうところのCrisps

*4:あと自分で調べてひとりで旅するなんて勇気があってスゴいねー。長距離バスのチケットなんて普通外国人は買えないよ。そんなに大ファンならイギリスに移住しちゃえばいいじゃーん、もっと英語の下手な人ももっと年上の人も来てるから、全然大丈夫!とか言われたりした

*5:ツアーの内容に奴隷、移民、女性の参政権だとかLGBTの話も出て来ていたのですが、このご夫妻はかなりリベラルな方々で、自分たちはアンチトランプだと言っており、特に女性の参政権についてはかなり興味津々でした。

*6:イギリス留学を終えてイギリス中旅をしているらしく、私のこの先の旅程を聞いて良いパブの情報とかを一生懸命教えてくれた。結局忙しくて行く暇はなかったけど。

*7:現地の優しい皆さまごめんなさい&ありがとう

*8:美術館の入り口での入館料と寄付金の説明などは早口で数字が覚えきれない

*9:2017年9月に初めてひとりでイギリスに行った頃は、本当にサンキューとハローしか言えなくて、スーパーで買い物するのも怖くてずっとお腹空いてた

オンライン英会話を始めてみた

とにかくスピーキングを何とかせねば

英語を何とかせねばと思ってはいるものの、リスニング(PodcastとかYoutube動画とか)をやるだけで早数年。来月海外に行くし、現地でネイティブと多少話をしなければならない事になりそうなので、いよいよ追い詰められて正月にDMM英会話*1に入会してみました。が、とにかく会話がやりたくない。英語怖いし知らない人と話すの緊張するし。1月半ほど寝かせておりましたが、毎日自分を責める心の声に耐えかね、ついに重い腰を上げて先週からレッスンを受けてみております。昨日が5回目。たった5回ですが、今のところの感想。

英語講師は辛いよ

DMM英会話の1回25分/日のスタンダードプランは現在1か月7,900円です*2。30で単純に割ると1回263円。貨幣価値に差があるし、会員全員が毎日受講するわけではないとはいえ、講師の皆さんをざっくり時給500円代で拘束している事になります。これはいかにも安い。これが意味するのは何かというと、特別な例を除いては、英語を外国人に教えるための正式な訓練を受けた講師はいないというのがベースとなります。

英語の先生たちのPodcast等を聞いているせいで、無駄に英語の先生達事情(特にオンライン講師)というか愚痴のようなものも聞いており、色々思うところがあります。

外国人に英語を教える資格としてはTESOL, TEFL, TESL等をよく見かけますが、ここが玉石混合。専門の大学やら機関でまとまったカリキュラムをこなして資格を取得した先生もいる一方、数万円払ってオンラインコースをやった(事にして)だけで資格を取れるようなケースも最近多くなっているそうです。当然正式に教育を受けた先生たちは激怒してます。

一方で信頼度が高い資格がCELTAとDELTA。ケンブリッジ大学が認定する120時間のコースを修了すると得られるのがCELTAで、実務経験を3年経た上でケンブリッジ大学が認定するコースを修了した英語教師資格の最高峰がDELTA、らしいです。DELTAは英語のネイティブでもノイローゼになりそうなぐらい大変らしいので、この資格を持っているネイティブ以外の先生はかなりすごい。

DMM英会話ではTEFL, TESL持ちの先生はちらほら見かけます。CELTA持ちの方も一度見かけましたが、さすがにDELTAはいない。大半は恐らく無資格です。

講師は確かに玉石混合だが目的で使い分けられる利点がある

資格は一つの目安ではありますが、当然資格がなくてもコミュニケーションがうまい人、下手な人もいるし、感じが良い悪い、気が合う合わない等、講師を選ぶには様々な観点があります。

私のように英会話に対して恐怖心が強い人間にとっては40代以降のフィリピンの女性講師*3がとてもありがたい。明るくてとてもフレンドリーでお話し好きな方が多く、ホッとします。但し発音はフィリピンアクセントだし、こちらが無茶苦茶な英語で話しても意図を汲み取って会話を広げてくれて、間違いの指摘もあまりしてくれません。それでも「今日も英会話辛いよ~」という気分の時には、彼女たちの包み込んでくれるような優しさがものすごく貴重です。

比較的年齢が若い講師、ミレニアム世代ぐらいの年代の講師はフィリピンの講師の先生達も含めてみんな概ね発音がよく、スピードも速く、比較的上級者向けという印象です。多分彼ら自身が英語を学んでいた頃には既にインターネットが普及していて、ネイティブの英語に触れる機会が豊富にあったんだろうなと。20代30代の男性講師はみんなジェントルマンで、英語のスピードは速いけど、高齢に片足突っ込んだ日本人女性(=私)にすごく優しくしてくれてます。介護気分かな。

意外にねらい目なのはアフリカの講師。素人が聞く限りほぼネイティブと発音も変わらないし、たとえ英語を教える資格はなくても高等教育は受けてるんだろうなという印象。

その日の自分のコンディションに合わせて選べるというのはとても良いですね*4。現段階ではとにかく出来るだけ多く英語を話す機会を持つのが大事なので、ガラスのハートをお持ちの皆様におかれましては、頑張れそうな時は若い先生、辛い時には年齢高めの先生と使い分けるのが良いのではないでしょうか。

しかしですね

たった5回しかやってないのですが、自分に関していえば、自分の今のやり方では何年DMM英会話を続けても目標とするような英語が話せるようにはならないと思います。無茶苦茶な単語の羅列みたいな英語で通じちゃってますからね*5。海外の観光地で片言の日本語でもの売りつけようとして来る人、いるでしょう。多分今の私はあんな感じ。

自分でまともなセンテンスで話そうと思わない限り、まともなセンテンスで話せるようにならないでしょう(当たり前)。そしてまともなセンテンスで話すためには、予習なのか復習なのかシャドーイングなのか分かりませんが、オンライン英会話以外の練習の時間が絶対に必要だと思います。しかしただでさえ毎日時間がカツカツなのに、そんな気力と時間をどこからひねり出せばいいものか。

これもPodcastの受け売りですが、独学で私のように4技能のうちリスニングばかり何年もやってしまうと、非常にバランスが悪いのですよね。今のところDMM英会話ではDaily Newsの教材ばかり使っているのですが、Level6だといかにも本文が簡単すぎるし、Level7でもまだ語彙が簡単気味なのですが、Discussion部分の難易度が高いっていうビミョーな感じになっています。

しかし毎回時間一杯まで話して、どの講師とも「あーもう時間だー、またね、ありがとうございます!」って最後の5秒ぐらいで挨拶して終わっているので、何とか頑張っている方ではないでしょうか、私。講師の国の事を質問したりね。スシロー事件の事で「日本人があんなことするなんて思わなかったよ!」ってフィリピン人先生に言われたりね。ワールドニュースかよスシロー。あとPorcupine Tree信者のモロッコ人先生に「Steven Wilsonは商業に魂を売ったんだ!」と言われて「ちげーよ、彼はプログレしてるんだよ!」等と言い返したりね*6

もしかしたらスピーキングに合わせてもっとLevelを下げるべきなのかなと思わなくもありません。しかし現在の自分より少し上のレベルに挑むというのが外国語学習のセオリーなので、今のレベルで頑張るのが多分正しい...のかな。

とにかく何か月かは続けてみて、それから次の展開を考えたいと思っております*7

*1:1回25分/日のスタンダードプラン

*2:最近値上げした

*3:率直な言い方をすると「こまけー事は気にしないっぽいオバちゃん系」*とはいえ大体私より年下だが

*4:しかも週末なのに終日布団から出られなかったようなダメダメな日でも、DMMさえこなせば何かを成し遂げた感が得られます。偉いぞ自分。

*5:有資格の先生達は子供やお年寄りやペットに話すような話し方は厳に慎み、学習者が正しくセンテンスで話すように誘導するらしい

*6:もちろんお互い冗談で

*7:ある程度意思の疎通に慣れたら、italki辺りでDELTA持ちの優しそうな先生を探してみるのもいいかなと。DMM英会話に比べるとかなり高価ではあるけれど

行きたい国・行った国

今週のお題「行きたい国・行った国」

 


行った国

生まれて初めて外国に出かけたのは、学生時代、ヨーロッパに行くために乗り継ぎで立ち寄った韓国のソウルだった。今思えば乗り継ぎで一泊するぐらいなら南回りのチケットを買った方が安上がりだったのではないかと思うが、当時は中東というのはどの国も全てミサイルが飛び交い、そこいら中にテロリストがいる恐ろしいところだとぼんやり思っていたので、トランジットで空港に行くのすら躊躇したのだ。

一方私が子供の頃の韓国という国は軍事政権で情報が全然なく、何をやってるのか分からない国という意味では北朝鮮と似たようなものだった。私が立ち寄ったこの頃にはずいぶん開かれた国になってはいたものの、昔の暗いイメージがまだ色濃く残っていたように思う。初めての海外という怖さもあり、日本語の話せる現地添乗員込みの空港送迎付きで高級ホテルに泊まり、食事もホテル内の仰々しい韓国料理レストランで食べたのを覚えている。この頃はとんでもない円高だったのだ。添乗員にお願いして本場のキムチを日本の家族に送ってもらったのだが、完全にボッタクリ価格で、しかし大層美味しかったそうなのでまぁ良い。

その後滞在したのはフランス、スウェーデンノルウェーフィンランド、しばらく間をおいて、インドネシア、タイ、イタリア、スペイン、ハワイ(アメリカ)そしてまた間をあけて、最近は何度か英国に通っている。ひとりで海外に出るようになったのは英国が初めてで、ここ数年のことだ。

英国

ヨーロッパというのは常に緊張を強いられるし、昔はアジア人を見かける事もそう多くなかったので浮いている自覚もあり、疲れる旅先だった。しかし年を取って図太くなったせいか、イギリス、特にロンドンはヨーロッパの中では断トツに居心地が良い。あらゆる人種が入り乱れているし、こちらに分厚いダウンジャケットを着た人がいたかと思えば、あちらにはマラソン用のような極端な短パンで電車に乗っているおじさんがいたりする。お互い干渉しない一方で、一般のイギリス人というのは必要があってやり取りをしてみると、案外気のいい人たちであると思う。気取ったようなところを感じたことがあまりない。もちろん例外はあるけど。日本人には比較的過ごしやすいのではないだろうか。

行きたい国

久々にアジアのリゾートにまた行きたいなどと思うこともあるが、好きなミュージシャンが英国にいて何かとそちらに行くことになっているので、他の所に行く時間とお金のゆとりがない。旅の予定を立てる気力も体力も落ちて来ている自覚があり、遠い所に行くなら今ぐらいが最後なのかもしれないなと思う。

左翼な親に育てられたせいか、アメリカ大陸にはなぜか全く興味が沸かないのだが、南米の都市と、アフリカの砂漠に近い街には一度行ってみたいと昔から思っている。ウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」とベルトリッチの「シェルタリング・スカイ」の世界だ。

どちらも言葉の通じない知らない人々に囲まれて現地で死んでしまうイメージがあり、不吉な予感しかしない。暑苦しいガチャガチャした道端で野垂れ死んで、たまたま通りがかった誰かに意味もなく死骸を蹴られてぶーんとハエが沢山飛んで、そのまま放置されて腐り果てる。実際の自分は雪国生まれの雪国育ちなので、そういうのに好奇心と強烈な恐怖があるのかもしれない。

しかし考えてみれば英語だってロクに話せないんだし、常にぼっちという意味では日本に居たってモロッコの砂漠に居たってそう大差ないじゃないかという気もする。

 

旅の1番好きなところは、空港で自分の出発まで時間つぶしにビール飲んだり、これからどこかに行くという移動のプロセスなので、お金が沢山あったら世界中グルグルしてるかもな。アメリカ人のミュージシャン、Fantastic Negriteさんがずーっと旅をしてるのをTwitterでいつも羨ましく眺めている。

洋楽界隈のキャンセルカルチャーとか再結成とか

最近ここを放置気味なので何となく洋楽界隈の話題などを書いておこう。

今年は海外バンドやアーティストの来日が本格的に再開し始めて、洋楽ファン界隈ではお金が追い付かないと悲鳴が上がっている状況。Twitterは久しぶりに好きなアーティストのライブを見に行った方々の嬉しい楽しい大好きであふれていて、そういうのはなんぼ見ていても良いものです。こちらもニコニコしてしまう。

そんな中、ある人気の大物バンドがもうすぐ来日*1します。ところがそのバンドのメンバーが出演したPodcastでの発言によってここのところ炎上しているのです。

問題になったPodcastでは各国の英語の訛りを嘲笑したり、女性の生理について茶化したり、日本人についてもホストから言及*2があり、割とひどい内容らしい*3。そして関連記事などを見る限り、元々が「そういうホストがやっている」Podcastらしい。そもそも何故あのミュージシャンはそんなのに出演しちゃったかね。

ホストの露悪的な酷い発言に爆笑で応えたのち、当のミュージシャンは日本文化についての自分の考えを述べ、自分は日本が好きだと言っているらしい。褒められたものではないと思いますが、その場の雰囲気に流されてしまった感が強く、本人がゴメンなさいして終わりかなと私は思っておりました。

しかし残念なことに、というか驚いたことに、今のところこの件について公式からも本人からも何のアナウンスも無いばかりか、バンドは新たなライブの開催を発表しています。メディアもライブの発表についてのみ大々的に取り上げ、Podcastについては何事も無かったかのように完全スルー*4Podcastそのものより、その状況にだんだん腹が立ってきてムカムカしております。

まずオフィシャルが今回の件で無視を決め込んでいるのが気に入らない。もう1週間近く経ってるので、今後も自発的に何かを発表する気はないのでしょう。来日を控えて最も問題になりそうな日本人の大半が英語が分からないのをバカにしてるんじゃないかと邪推したくなります。開き直るにせよ謝罪するにせよ、本人だって何か思うところがあるはずです*5。オフィシャルは今のところ本人の意思を完全に閉じ込めている状況で、本人の心中を思うと非常にいたたまれない気持ちにもなります。病むよ、これは。それともすでに病んでるのか。

オフィシャル側はイギリスの大手メディアやジャーナリスト達に有形無形の圧力をかけているはずです。そうでなければこの内容に対して誰も何も言及しないなんてありえません。それを受けてしまう(のか自発的なのか分からないけど)メディアには大きな怒りを覚えます。普段偉そうにご高説を垂れて「正義」のキャンセルをまき散らかしているのは一体何だったんでしょうか。若い白人男性で売れててイケメンで有名人の息子でレコード会社が強いから報道しないんですよね。だからカニエ・ウエストはダメでこっちはOKなんですよね。

事実関係がはっきりしない事や疑い、もっと小さな言動だけで大手メディアに吊し上げられて、有象無象に叩かれている人たちが山のようにいます。それで病んでしまったり表舞台から姿を消したり、下手すると命を落としてしまった人々がどれだけいると思ってるんでしょうか。結局のところ売れている、もしくは権威のある、もしくは大手事務所の人の言動は相対的に大して問題にされません。結局はただの弱い者いじめ、って事です。叩かれたくなかったら出稿せよ、広告料を払え、って事です。やってる事がヤクザと一緒なんだよ。メディアが腐ってるのは日本だけじゃないんだなと改めて実感しました。

そんな中、この件についてとても共感できるTweetを見かけました。「人間の正体は皆同じ。問われているのはそれをどうやって取り繕い、維持するかだと思う。」という内容。本当にそう思います。どういった内容であれ、本人が自分の考えを発信する機会が与えられることを期待します*6

そしてこのTweetをした方にもう一つ大きく共感したことがあります。同じミュージシャンについて「Podcastよりも、その前に報道されたあの発言の方がひどかった」と言及した事です。

それは既に10年以上前に解散してしまったある大物バンド*7について言及した「彼らのソロのライブに行って、バンドの方がよかったと思っていないやつはひとりもいない。大人になって再結成するべき」という発言。私もこの発言がずっと引っかかっています。

まず、メンバーのソロ活動に対して全くリスペクトがない事。昔からのファンで内心バンドの方がよかったと思っている人が全くいないとは思いません。しかし「ひとりもいない」とはどういう事でしょうか?ソロ活動で新たな方向性や表現を模索し、今も最前線で活躍している現役のミュージシャンに対して、よくもそんな事が言えるな、と呆れてしまう。自分もミュージシャンなのに。

「大人になって」の部分にも違和感を覚えます。大人になって?どういう意味?どう考えても「バンドの方が儲かるんだから我慢してやれよ」以外の意図が私には見えないんですが、何か別の意味があるんでしょうか?ファッキン余計なお世話だぜ!(誰かの代弁)

そもそも解散してしまったバンドメンバーに気軽に「再結成してー」と言ってしまう行為が私は嫌いです。プロのバンドが解散するという事態がメンバーにとってどれほど大変な事か、想像したことはないんでしょうか。継続のために本人達や関係者が道を模索し、苦しんだ末に出したであろう解散の決断にリスペクトは無いのでしょうか。誰よりも解散したくないと思っていたのも*8、悲しんだのも、苦しんだのも、将来への不安に押しつぶされそうだったのも、本人達なのではないでしょうか。その本人達に対して、アカの他人が再結成しろと?ファッキン何様のつもりだ?(誰かの代弁2)

もうこの世には存在しないバンドのファンが「もう一度見たいな...」と思うのは理解できるし、その気持ちの中で「再結成」に言及するのは心情としては分かります。しかし同業者が「大人になってさっさと再結成しろよ」はあまりにも無神経で傲慢な言い草だと私は思います。それをポジティブな話みたいに取り上げる大手音楽メディアも本当に大大大大嫌い!(結局そこに戻る)

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2月20日追記

どうやら昨日ご本人が火に油を注ぐような動画の投稿をしてしまったようです。少し休んで、ちゃんとケアを受けられるといいなと思います…(というレベルの動画だと私は思いました)

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*1:個人的にはこのバンドには特別な関心は無く、例によって単なる野次馬です。

*2:大戦中にナチスの仲間だったこと、アジアの他国に対して非道な振る舞いをしたことに触れて差別主義者と呼び、英語のアクセントについても言及などなど

*3:ダウンロードしてホストを喜ばせたくないので、私は聞いておりません。

*4:私が知る限り、Podcastについて取り上げた大手メディアは英国の1社だけでした。

*5:男女比が同じフェスにしか出演しないとか、元々意識高い発言をしてる人だったので、今回の件との落差にビックリしているファンも多い。

*6:じゃないと本人もシンドイと思う

*7:一応言っておくとこのバンドにも特に大きな興味はありません。野次馬です。

*8:もちろん経済的な意味でも