英語を浴びるだけ日記

英語で見たり聞いたりしたもの日記

洋楽界隈のキャンセルカルチャーとか再結成とか

最近ここを放置気味なので何となく洋楽界隈の話題などを書いておこう。

今年は海外バンドやアーティストの来日が本格的に再開し始めて、洋楽ファン界隈ではお金が追い付かないと悲鳴が上がっている状況。Twitterは久しぶりに好きなアーティストのライブを見に行った方々の嬉しい楽しい大好きであふれていて、そういうのはなんぼ見ていても良いものです。こちらもニコニコしてしまう。

そんな中、ある人気の大物バンドがもうすぐ来日*1します。ところがそのバンドのメンバーが出演したPodcastでの発言によってここのところ炎上しているのです。

問題になったPodcastでは各国の英語の訛りを嘲笑したり、女性の生理について茶化したり、日本人についてもホストから言及*2があり、割とひどい内容らしい*3。そして関連記事などを見る限り、元々が「そういうホストがやっている」Podcastらしい。そもそも何故あのミュージシャンはそんなのに出演しちゃったかね。

ホストの露悪的な酷い発言に爆笑で応えたのち、当のミュージシャンは日本文化についての自分の考えを述べ、自分は日本が好きだと言っているらしい。褒められたものではないと思いますが、その場の雰囲気に流されてしまった感が強く、本人がゴメンなさいして終わりかなと私は思っておりました。

しかし残念なことに、というか驚いたことに、今のところこの件について公式からも本人からも何のアナウンスも無いばかりか、バンドは新たなライブの開催を発表しています。メディアもライブの発表についてのみ大々的に取り上げ、Podcastについては何事も無かったかのように完全スルー*4Podcastそのものより、その状況にだんだん腹が立ってきてムカムカしております。

まずオフィシャルが今回の件で無視を決め込んでいるのが気に入らない。もう1週間近く経ってるので、今後も自発的に何かを発表する気はないのでしょう。来日を控えて最も問題になりそうな日本人の大半が英語が分からないのをバカにしてるんじゃないかと邪推したくなります。開き直るにせよ謝罪するにせよ、本人だって何か思うところがあるはずです*5。オフィシャルは今のところ本人の意思を完全に閉じ込めている状況で、本人の心中を思うと非常にいたたまれない気持ちにもなります。病むよ、これは。それともすでに病んでるのか。

オフィシャル側はイギリスの大手メディアやジャーナリスト達に有形無形の圧力をかけているはずです。そうでなければこの内容に対して誰も何も言及しないなんてありえません。それを受けてしまう(のか自発的なのか分からないけど)メディアには大きな怒りを覚えます。普段偉そうにご高説を垂れて「正義」のキャンセルをまき散らかしているのは一体何だったんでしょうか。若い白人男性で売れててイケメンで有名人の息子でレコード会社が強いから報道しないんですよね。だからカニエ・ウエストはダメでこっちはOKなんですよね。

事実関係がはっきりしない事や疑い、もっと小さな言動だけで大手メディアに吊し上げられて、有象無象に叩かれている人たちが山のようにいます。それで病んでしまったり表舞台から姿を消したり、下手すると命を落としてしまった人々がどれだけいると思ってるんでしょうか。結局のところ売れている、もしくは権威のある、もしくは大手事務所の人の言動は相対的に大して問題にされません。結局はただの弱い者いじめ、って事です。叩かれたくなかったら出稿せよ、広告料を払え、って事です。やってる事がヤクザと一緒なんだよ。メディアが腐ってるのは日本だけじゃないんだなと改めて実感しました。

そんな中、この件についてとても共感できるTweetを見かけました。「人間の正体は皆同じ。問われているのはそれをどうやって取り繕い、維持するかだと思う。」という内容。本当にそう思います。どういった内容であれ、本人が自分の考えを発信する機会が与えられることを期待します*6

そしてこのTweetをした方にもう一つ大きく共感したことがあります。同じミュージシャンについて「Podcastよりも、その前に報道されたあの発言の方がひどかった」と言及した事です。

それは既に10年以上前に解散してしまったある大物バンド*7について言及した「彼らのソロのライブに行って、バンドの方がよかったと思っていないやつはひとりもいない。大人になって再結成するべき」という発言。私もこの発言がずっと引っかかっています。

まず、メンバーのソロ活動に対して全くリスペクトがない事。昔からのファンで内心バンドの方がよかったと思っている人が全くいないとは思いません。しかし「ひとりもいない」とはどういう事でしょうか?ソロ活動で新たな方向性や表現を模索し、今も最前線で活躍している現役のミュージシャンに対して、よくもそんな事が言えるな、と呆れてしまう。自分もミュージシャンなのに。

「大人になって」の部分にも違和感を覚えます。大人になって?どういう意味?どう考えても「バンドの方が儲かるんだから我慢してやれよ」以外の意図が私には見えないんですが、何か別の意味があるんでしょうか?ファッキン余計なお世話だぜ!(誰かの代弁)

そもそも解散してしまったバンドメンバーに気軽に「再結成してー」と言ってしまう行為が私は嫌いです。プロのバンドが解散するという事態がメンバーにとってどれほど大変な事か、想像したことはないんでしょうか。継続のために本人達や関係者が道を模索し、苦しんだ末に出したであろう解散の決断にリスペクトは無いのでしょうか。誰よりも解散したくないと思っていたのも*8、悲しんだのも、苦しんだのも、将来への不安に押しつぶされそうだったのも、本人達なのではないでしょうか。その本人達に対して、アカの他人が再結成しろと?ファッキン何様のつもりだ?(誰かの代弁2)

もうこの世には存在しないバンドのファンが「もう一度見たいな...」と思うのは理解できるし、その気持ちの中で「再結成」に言及するのは心情としては分かります。しかし同業者が「大人になってさっさと再結成しろよ」はあまりにも無神経で傲慢な言い草だと私は思います。それをポジティブな話みたいに取り上げる大手音楽メディアも本当に大大大大嫌い!(結局そこに戻る)

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2月20日追記

どうやら昨日ご本人が火に油を注ぐような動画の投稿をしてしまったようです。少し休んで、ちゃんとケアを受けられるといいなと思います…(というレベルの動画だと私は思いました)

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*1:個人的にはこのバンドには特別な関心は無く、例によって単なる野次馬です。

*2:大戦中にナチスの仲間だったこと、アジアの他国に対して非道な振る舞いをしたことに触れて差別主義者と呼び、英語のアクセントについても言及などなど

*3:ダウンロードしてホストを喜ばせたくないので、私は聞いておりません。

*4:私が知る限り、Podcastについて取り上げた大手メディアは英国の1社だけでした。

*5:男女比が同じフェスにしか出演しないとか、元々意識高い発言をしてる人だったので、今回の件との落差にビックリしているファンも多い。

*6:じゃないと本人もシンドイと思う

*7:一応言っておくとこのバンドにも特に大きな興味はありません。野次馬です。

*8:もちろん経済的な意味でも